個人事業主の確定申告って?

最近では新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、IT業界を中心にテレワークが浸透しつつあります。会社に出社する必要がなく空いた時間に仕事をすることができる為、本業の合間に副業としてライターの仕事をおこなう人も増えてきています。中には本業を超えるようなお金を稼いでいる人もいるほどです。今回はそういった場合に行わなければならない確定申告についてご説明していきたいと思います。

確定申告とは

会社員であれば会社から貰う給料に対する税金は源泉徴収という形で毎月の給料から概算額で差し引かれています。そして年末に1年間の給料に対する正しい税金を計算し毎月の給料から多く差し引いていた場合は還付という形で、徴収不足である場合には追加徴収という形で精算されます。このように会社が従業員の1年間の給料を計算することを「年末調整」といいます。

それに対し会社に勤めずフリーランスで仕事をおこなっている人(個人事業主)などは会社の事務員のように税金を計算してくれる人がいませんので、自分で税金を計算し納めなければいけません。これを「確定申告」といいます。確定申告は年末調整と名前は違いますが内容からみると年末調整とほとんど同じです。会社員の場合は給料から税金を計算していきますが、個人事業主の場合は売上や経費から税金を計算していきます。売上から経費を差し引き最終的に残ったお金に対して税率をかけて税額を算出します。

確定申告には種類がある

確定申告にはいくつかの種類に分けて申告をおこなわなければいけません。収入から経費を差し引いたものを所得というのですが、この所得を収入の種類ごとに区分していきます。会社員などのように給料であれば給与所得、家賃や地代といった不動産の収入の場合は不動産所得、事業をおこなっているのであれば事業所得に区分されます。また家や土地を第三者に売却した場合や車やその他の資産を売却して得た場合は譲渡所得に区分され、その他にもいくつかの所得区分があるのですが、それぞれの所得区分ごとに税金の計算方法が異なるため確定申告をおこなう場合は注意が必要です。

フリーランスで稼いでいる人はこれらのうち事業所得とどの所得区分にも属さない雑所得のいずれかに区分されます。この2つの種類の違いは事業の規模によって判断されます。例えばウェブライターとしてメインで仕事をおこない収入があるとするのであればそれは事業所得となります。反対に会社からの給料などメインの収入が別にあり、その合間にウェブライターとして収入がある場合は雑所得に区分されます。しかし、副業である場合にもその規模が大きい場合は事業所得に区分される場合もあります。

事業所得と雑所得の違いは収入から経費を差し引いて所得を計算し、その所得に税率をかけて税金を計算するという点では同じですが細かく見るといくつかの違いがあります。

・赤字の場合の繰り越し

ウェブライターの場合だとあまり無いかもしれませんが、その年の収入よりも経費が多くかかってしまった場合(ウェブライターとして収入よりも教材代や講習代その他の支出が多い場合など)その年の所得はマイナスということになります。事業所得の場合はそのマイナス部分は翌年に繰り越し、翌年がプラスの所得となればその所得から差し引いてくれます。雑所得の場合はこの繰り越しがおこなわれません。

・損益の通算

ウェブライターとしての収入以外に給与所得などの所得がある場合、事業所得の場合はウェブライターとしての所得と給与を合算し最中的な所得を算出します。そのため事業所得が赤字であれば給与所得からその分を差し引いて計算することができます。このことを「所得の損益通算」といいますが、雑所得の場合は損益通算することができません。

ウェブライターは確定申告をした方がお得?

確定申告は原則として本業としての収入であれば38万円以下、副業であれば20万円以下であれば確定申告は行わなくてよいとされています。しかしウェブライターなどフリーランスの場合は金額に関係なく確定申告を行った方がお得になる場合が多いです。これは源泉徴収義務というある制度が関係してくるのですが、業務を依頼するクライアントは依頼先へ報酬を支払う際に一定金額以上の場合は報酬に対して10.21%、または20.42%の所得税相当分の金額を差し引かなければなりません。この差し引かれた金額はクライアントが税務署に納付するため、報酬を受け取ると同時に税務署に一定額の税金を前払いしている状態となります。そのため赤字である場合や収入が少ない場合は確定申告をおこなうことで払いすぎている税金を取り戻すことができます。

青色申告と白色申告とは

事業所得として申告をする場合にはさらに青色申告と白色申告の2種類に分かれ申告をおこないます。この2種類の違いについては下記のとおりとなります。

・青色申告

青色申告は青色申告で申告したい旨の届出を所轄の税務署に提出することで選択することができ、日々の収支等の取引をきちんと帳簿へ記載しその最終的な収支を元に決算書を作成、さらに決算書に記載した最終的な所得を確定申告書に記載して申告する制度のことです。帳簿作成などの手間がかかる反面、その特典として10万円から最大65万円を所得から差し引くことができる、「青色申告特別控除」を適用することができ、白色申告者と比較して高い節税効果を得られる申告制度となります。事業者の多くはこの青色申告を適用しています。

・白色申告

上記の青色申告で申告したい旨の届出を所轄の税務署へ提出していない事業者は自動的に白色申告ということになります。以前は帳簿の記帳義務がありませんでしたが、平成26年分よりすべての白色申告者にも青色申告と同様に帳簿の記帳義務とその帳簿等の保存が義務づけられた為、帳簿の作成のみであれば青色申告とそれほど手間はかからないことになります。手間は変わらないのであれば青色申告特別控除がある青色申告のほうが断然お得ということになります。

ウェブライターの経費は?

税金は所得から計算され、所得は収入と経費の差し引きで計算されます。そのため経費として支払った分の領収書などの書類はしっかりと保存しておき所得計算に含めなければ税金が高くなってしまいます。ウェブライターの場合は記事を執筆するために必要な教材や参考書、取材などが必要な場合は交通費など仕事に必要な支出であればそれは経費となります。また仕事の特性上自宅で仕事をおこなうことが多いと思いますが、借家であれば仕事で使用する部屋やスペースをプライベート空間と区別することで家賃の一部を経費にすることも可能です。もちろん水道光熱費や電話代などの支出も収入を得るために必要な支出であれば経費とすることができます。プライベート分と事業分が混同している支出についてはしっかりとした区分が必要で、家賃であればプライベート部分と仕事部屋の面積割合、水道光熱費等であれば使用割合など合理的な区分で分ける必要があります。

まとめ

確定申告をおこなう上ではいかに正しく計算できるかがポイントとなります。経費になるものを経費に入れ忘れていたりすると税金が高くなり損してしまいます。確定申告は面倒と感じる方も多いと思いますが確定申告をおこなうことで税金が還付されることもあるので必ず確定申告は行うようにしましょう。最近では国税庁のホームページで簡単に決算書や申告書を作成することができますので、支払った経費などの領収書は捨てずに保管しておき経費の計上漏れがないようにしましょう。